ロシアのミシュスチン首相がイトゥルップ島を訪問したことに対し、日本政府が抗議していることについて、ぺスコフ大統領補佐官は、「ロシアの首相は必要と考えるロシアの地域を訪問するだろう」とコメントした。リアノーボスチ通信が伝えた。

「彼はロシア連邦の首相であり、必要と考えるロシアの地域を当然訪問するだろうし、我々のパートナーとの協力を含めて、地域の発展のためには一層努力する必要がある」とぺスコフ報道官は述べている。

7月26日、日本の森健良外務次官はミハイル・ガルージン駐日ロシア大使に対し、ミハイル・ミシュスチン首相のイトゥルップ島訪問への抗議を表明していた。ガルージン大使は、そのような日本側の抗議は受け入れられないとしている。大使によれば、南クリル諸島の領有権は、第二次世界大戦の結果として合法的にロシア側に移ったものであるというロシア側の原則的立場を踏まえて、今回の抗議は受け入れがたいものである、としている。

2020年9月29日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と日本の菅義偉首相との間で初めての電話会談が行われ、その中で菅首相は島の領有権をめぐる問題を解決したいとの意向を表明していた。菅首相は、「『北方領土』問題を次の世代に残したくない。この問題に終止符を打ちたい」と記者らに語っていた。安倍晋三前首相も、この問題の解決のため、いままでの四島返還の立場を変更し、二島先行に切り替えていた。

これより先、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相は声明を発表し、日本政府がクリルに対するロシアの領有権を認めることによって、露日対話が加速されるとの考えを示している。「日本側がこの状況を熟慮することを我々は待っている。というのも、日本は第二次世界大戦の結果を認めていない世界でも唯一の国と言えるからだ」とラヴロフ外相は述べ、日本が国連に加盟した際に批准した国連憲章では、第二次世界大戦の結果が最終的なものであり、変更できないものであるとされる点を指摘した。

セルゲイ・ラヴロフ外相は、「最初の一歩を踏み出すべきなのは我々ではなく日本政府である。その第一歩は第二次世界大戦の結果を無条件で認めることであり、全クリル諸島へのロシア連邦の主権を認めることだ」と述べ、日本政府のそのような一歩が、平和条約の締結交渉を加速させうるとの考えを示している。

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By KokusaiSeikatsu

『国際生活』はロシア連邦外務省を発起人とする、国際政治、外交、国家安全保障の問題を取り扱う月刊誌です。創刊号は1922年、『外務人民委員部週報』として出版され、1954年に『国際生活』として、月刊誌として復刊しました。今日、ロシア国内だけでなく、世界各国においても幅広い読者を獲得しています。