NLDが、軍部との連立を望んだことは一度もない。タッマドーの全権限を制限するために、党は、議会において軍部に保障されている議席の縮小と、国軍の指揮を上級大将から大統領へと移行することを目的とした数十の修正を提案して、憲法改正に関する課題を何度となく提起してきた。外国籍の親族を持つ人物が大統領職に就くことへの禁止を、憲法から取り消すことに関する議論も行われた。これが実現すれば、NLDの党首アウンサンスーチーが大統領に就任する可能性が開けるはずであった(現行の憲法では、彼の子息たちがイギリス国籍を保有しているという理由で、アウンサンスーチーは大統領に立候補することができない)。軍部はこのような修正案に対し、一貫して拒否権を行使し続けてきた。

2020年11月の国政選挙の結果、NLDとスーチー女史個人に、闘いに勝利する望みが生まれた。彼らは、議会での圧倒的多数をもってすれば、軍部を政権の座から引きずり下ろすことができると、本気で考えていただろう。

軍部の方はというと、MLDが政権を独占することを容認できなかった。彼らにとって、憲法改正は、非常に大きなものが賭かっている。議会における議席、内閣における三つの「上級」大臣のポストと副首相のポスト一つだけでなく、ミャンマーの将軍らの多大な経済資産もこれに含まれる。とりわけ、二つの非常に影響力を持つ経済機構――軍事体制下に設立され、かつての国有企業が基盤となっているミャンマー・エコノミック・ホールディングス(UMEHL)とミャンマー・エコノミック・コーポレーション(MEC)は、国防省の管理下に置かれている。UMEHLの権限に属するのは、まず第一に、鉱業である。そのほか、この機構は、銀行業や観光、不動産、輸送、軽工業や、ビール醸造を含む食品工業といった分野で非常に大きな役割を果たしている。MECの方は、冶金工場や防衛関連の企業などのような、重工業の企業の活動を管理している。

ミャンマー国軍の総司令官ミン・アウン・フライン上級大将には、11月の選挙結果を不服とする個人的な理由があった。彼の二期目の総司令官としての5年間の任期は、2021年7月に65歳を迎えることで満了する。タッマドーが支持する連邦団結発展党とその協力候補らが11月の選挙で3分の1さえ獲得していれば、タッマドーは軍人議員らの組織票を得て、彼を大統領に選出できるはずであった。

By KokusaiSeikatsu

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