2012年にロシアが世界貿易機関(WTO)に加盟したことは、二国間関係の発展にとって大きな一歩でした。多くの研究者がこの加盟を重要視しており、WTOの紛争解決システムに参加する機会が与えられたことに注目しています。ロシア連邦経済開発省によると、ロシアは加盟後、原告として貿易相手国の不当な措置に異議を唱える紛争を8件起こしており、そのうちのちょうど半分がEUとの関係に関するものです。しかし、わが国はEUとの関係で得られる貿易・経済上の利益を実現できていません。現在までに最終的な結果を迎えた紛争は1件もありません。

現在の協力体制の状況

 2013年から2020年のロシアのEUとの貿易額を比較すると、相互の貿易額は2013年の4,180億ドルから2019年には2,780億ドル、2020年には2,190億ドルと急激に減少しています(経済開発省/ロシア連邦保安庁の数字)。実際、ロシアの総貿易額は、2013年の8420億ドルから2019年には6740億ドル、2020年末には5720億ドルに減少しました。炭化水素の輸出(74%、2020年)と機械・設備の輸入(48.5%、2020年)の傾向は現在も続いています。今後10年間で、EUとロシアの相互貿易が2013年のレベルに達しない可能性は非常に高いと思われます。これにはいくつかの客観的な理由がありますが、その中には、米国が欧州連合(EU)との交流を弱めたいと考えていることも含まれています。

 驚くべきことに、ロシアの国際貿易の深刻な減少を背景に、中国との貿易額はわずか2.9%減の1,070億米ドルになると予測されています。

 2014年の出来事以来、ロシアと欧州列強の関係は、ゆっくりとしたペースではありますが発展を続けています―欧州連合理事会が2014年にロシアとの協力関係を凍結したこと(国境を越えた協力や人と人との接触を除く)や、国際金融機関を通じたEUによるわが国への資金提供を考えると。

 ロシアは、独自の戦略的優先事項を明確に定義し、独立したバランスの取れた外交政策を追求してきましたが、これは、ロシアが依存し、屈辱を受け続けることを望む西側の多くの政治家が気に入らないものでした。

By KokusaiSeikatsu

『国際生活』はロシア連邦外務省を発起人とする、国際政治、外交、国家安全保障の問題を取り扱う月刊誌です。創刊号は1922年、『外務人民委員部週報』として出版され、1954年に『国際生活』として、月刊誌として復刊しました。今日、ロシア国内だけでなく、世界各国においても幅広い読者を獲得しています。