リャブコフ:そうですね、大袈裟ではありません。この点に関しては度々言及していますが、過去に起きた通りに、あるいは後に教科書や論文で述べられ、一部の映画で描写された通りにキューバ危機を再現することは不可能です。その理由は単純で、ロシア政府や米国政府は勿論のこと、人類もまた現在起きていることから学んでいるからです。軍事管理の分野においては多くの経験が蓄積されました。また、核兵器の使用に関するドクトリンや構想の開発においては重要な進展があります。

ロシア政府は、核兵器使用のハードルを上げることに尽力しています。近年米国では、それとは反対の傾向が見られており、核兵器は実戦における攻撃手段としてますます認知されつつあります。これは戦略的安定性を脅かす危険な傾向です。

情勢がエスカレーションするシナリオを分析するのは本意ではありませんが、我々はとある一線に近づいており、それを超えてしまうと、当然ながらあらゆる重要性と手練手管を備える外交という手段は、二次的な役割を担うことになってしまうのだと私は考えます。今この状況を解決するためには、何よりも政治的・外交的手段を用いるべきです。問題の解決方法については、現状を極めて深刻に受け止めるべきであり、ロシアの提案の中にこじつけや行き過ぎを見出そうとすべきではないと我々は欧米側へ伝えましたし、現在も呼びかけています。もしそれが上手くいかなければ、次はどのようなステップを踏むべきか、そして何をするべきか、ということについて検討しなければなりません。

我々は、事態の深刻化を望んでいません。軍事衝突にも反対ですし、誰にも最後通牒など突き付けていません。我々が現状に甘んじ、受容し、何も起きていないふりをすることができないのだという結論を、単純に論理そのものが導き出しているのです。

アガネシャン:冷戦との歴史的類似性は今や枚挙に暇がありません。ロシア政府は、米国およびその同盟国がソ連と対立した時のような勢力圏の分断を再び引き起こそうとしている、そして、ロシアの版図を旧ソ連時代とほぼ同程度の規模にまで戻そうとしているとの非難が我々に浴びせられています。このようなことにどう対処していけば良いでしょうか。

リャブコフ:そうした批判を耳にするたびに、東西ドイツの統一やワルシャワ条約機構の解散など、そう遠くない過去の出来事が思い出されるのです。当時の欧米諸国とその指導者らは、自らの幸福を信じていないかのような印象を受けました。彼らの目の前で繰り広げられていることは、おとぎ話ではないということ、そして、自分たちにとって厳しいどころかむしろ非常に心地よいことであるということ、遠くの世界の素晴らしい何かでもないということを自らに納得させることができなかったのです。ロシア大統領が何度も述べていることですが、我々にとって東ドイツという大国の崩壊は大きな地政学的カタストロフィーでした。もう過去に戻ることはできません。時は流れました。ロシア大統領は幾度となくそう述べています。しかし、物事が引き続き思い通りに進み、ロシアにとって常に破壊的だった傾向が今後もますます強まっていくに違いないという欧米側の認識を許容することはできません。ロシア大統領が12月の大規模記者会見で本件に関して述べた内容を改めて一読してみてください。

ロシアは、国際舞台における独立した重要な国家です。我々には正当な利益があり、独自の政治があり、欧米のグループとは価値観の大きな相違があります。我々が多くの点において、単に社会心理学のレベルや、更にはロシアの空間を支配する心理学的類型のレベルで否定するものを、現在欧米は価値として捉えています。それゆえに、総じて欧米が望み且つ必要としていることと、我々が必要とし且つ最善の道として考えることとの乖離は、ますます深まり広がっているのです。両者の間に橋を架けようとすることは可能です。この橋は、我々が提案した支柱と基盤の上に建設すべきです。もし橋を架けなければ、代わりに要塞の壁が建てられることになり、そこからは砲弾が飛び、高熱のタールが降り注ぎ、あまりにも冷徹且つ頑なに自身の言い分を通そうとする頭の上に降りそそいでくることでしょう。そのようなことがなぜ、誰にとって必要なのでしょうか。

私の考えでは、交渉する方が得策であると考えます。

「ロシアがソ連時代の国境を回復しようとしている」という主張に関して言うと、そのような態度、アプローチ、あるいは方針は、全くの問題外です。そのような物の見方は、初期のジェームズ・ボンドの映画に出てくる、オーク壁の部屋の中を靴音を立ててゆっくり行ったり来たりしながら世界征服を企てる風刺的な登場人物が、お互いを「プーシキン将軍」、「ゴーゴリ将軍」と呼び合う姿と似ています。ちなみに、この映画は非常に人気のシリーズの作品です。

アガネシャン:ロシア外務省は、欧米が建設的な交渉を拒否すれば、ロシア政府は反撃モードに切り替えざるを得なくなるだろうと表明しています。ロシア側の提案が無視された場合、ロシア政府はどのように対応する可能性があるのでしょうか。

By KokusaiSeikatsu

『国際生活』はロシア連邦外務省を発起人とする、国際政治、外交、国家安全保障の問題を取り扱う月刊誌です。創刊号は1922年、『外務人民委員部週報』として出版され、1954年に『国際生活』として、月刊誌として復刊しました。今日、ロシア国内だけでなく、世界各国においても幅広い読者を獲得しています。