セルゲイ・ラヴロフ

国連創設75周年記念ハイレベル会合での集団安全保障条約機構(CSTO)加盟国代表としてのビデオメッセージ

セルゲイ・ラヴロフ ロシア連邦外務大臣 (翻訳:安本浩祥)

2020年9月21日、モスクワ

議長、

各国政府代表、

皆様、

集団安全保障条約機構の加盟国であるアルメニア共和国、ベラルーシ共和国、カザフスタン共和国、キルギスタン共和国、タジキスタン共和国、そしてロシア連邦を代表してメッセージを述べさせていただきます。

今日私たちは、真に意義深い出来事を記念しています。75年前、私たちの世界共通の家である国際連合の基礎が築かれました。過去を振り返れば、国連創設の父たちがいかに強固な決意を以て、民主的な国際システムづくりを目指したのか、私たちはただ心からの驚きを覚えるばかりです。次に続く世代を戦争の惨禍から救い、人権への信念を確立し、公正なる世界秩序と社会進歩への条件を整えようという熱意で、彼らは団結していたのです。

時間がたって、ある人々はこの偉大なる成果を当たり前のことと考えています。しかし、この道のりにおける一歩一歩が真の躍進であったことを忘れてはなりません。もちろん、そのなかでもナチズムに対する勝利は最も重要なものです。恐ろしい悲劇を前に自由な諸国民が団結したことによって、以前にはユートピアであると考えられていた理想の実現に向けた基礎ができあがったのです。

歴史を見直そうとする試みや、ファシズムに対する勝利に大きな貢献をした諸国民の役割を貶めるような試みは、そのような背景の下ではとても馬鹿げたものと映ります。当時の恐ろしい時代に亡くなった方々の記憶は神聖なるものです。私たちは歴史の教訓を忘れず、解放のために戦った戦士たちの功績を顕彰し、彼らをたたえるために作られた記念碑を守っていかなくてはなりません。

国連創設後すぐに訪れた冷戦によって残念ながら、大きな創造的潜在能力が完全に開花することは出来ませんでした。新しい希望が生まれたのはやっと44年後、二つの対立するシステムによる地政学的対立を象徴していたベルリンの壁が崩壊してからのことです。それまでの軍事的衝突の回避ということだけでなく、不信感と不平等の克服について、新植民地主義(ネオコロニアリズム)的野心の抑止について、共通の未来に向けた建設的協力について、話すことができるようになったのです。

残念ながら今日、世界の各地で激しい軍事紛争が続いています。それに加えて現代の新しい脅威である国際テロリズム、麻薬犯罪、サイバー犯罪、気候変動があります。今年はこのリストに更に新しい大きな挑戦が加えられました。コロナウイルスによるパンデミックは、社会経済分野及びその他の分野において、深刻な危機的現象を呼び起こしています。このような状況の中、COVID-19のパンデミックに対応するため国連事務総長が世界的に休戦を呼び掛けたことは、非常に時節にかなったことであり、集団安全保障条約機構の加盟各国も一致して、その呼びかけを支持するものであります。

その他の問題をも含めたそれらグローバルな問題への対応は、年を追うごとにますます複雑になってきています。特に、国際社会の団結が弱まっているという状況があります。一部の国が他の国々の合法的利益を考慮しないということが、そのような状況を生み出す大きな原因になっていると思われます。「ルールに基づいた世界秩序」というようなコンセプトやスタンダードを植え付けるといったことが、内政干渉の試みや国連安全保障理事会を無視した形での一方的な制裁の適用、不寛容と憎しみの発露といったことと並行して行われているのです。

しかし歴史の流れは変えることは出来ません。今日世界には経済成長の新しい中心が台頭し、軍事紛争も平和的手段で解決する必要性が高まり、相互依存がますます強まっています。国々を「味方」と「敵」に分けるような分裂に世界は疲れ、全面的相互援助と協力を求めています。いいかえれば、75年前の国連創設の際にたてられた目標が、ますます必要とされているのです。

それだけに、国連憲章と国際慣習法を遵守すること、そして国際問題の解決において国連を中心とした集団的アプローチを活発にし、真の多国間協調のほかに道はないと強調することが、ますます重要になっているのです。

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議長、

記念すべき日は、国連の将来像を描くためのよい機会です。

現代の世界において国連は、自らの憲章に従い整然と役目を果たす効果的組織であり続けなくてはなりません。国連組織相互の権限が不明瞭であったり、重複するようなことは、目的の達成を妨げるばかりで、許されるものではありません。実際の施策において国連は、集団安全保障条約機構など各地域的組織の経験を活用することができるでしょう。

国連の成果の大部分はその平和維持活動にあります。平和維持活動に対しては今日、かつてないほどの大きな期待が寄せられています。なぜなら、緊急を要する問題を解決し、長期的な調停を促すのが平和維持活動であるからです。

国際社会の主要な課題の一つは、平和的手段、政治外交的手段をもって紛争を解決することであり、それは国際的に認められた交渉の形式に則り、国際法に基づいたものでなくてはなりません。

テロリズムとの戦い、そしてその組織犯罪との連携の阻止、こういった分野における協力拡大は、いうまでもなく優先課題であり続けなくてはなりません。情報コミュニケーション技術が発展し、テロリズム、犯罪、軍事の目的にも使われている中で、国際的な情報安全保障の確立も重要な課題になりつつあります。

世界の安定を維持するため、武器管理や武装解除、不拡散といった体制を弱めようとする試みを防止しなくてはなりません。特に、国境を超えた性格を持つ脅威に対応することが求められています。例えば、紛争地域に外国のテロ戦闘員を送り込むこと、化学バイオテロの脅威はそのような脅威であり、また宇宙空間の利用を平和目的に限ることを実現しなくてはなりません。

発展を促進することは、平和促進のための不可欠の要素でもあることから、国連にとっての中心課題であり続けるべきです。重要なのは脱植民地化のプロセスを最後まで完了させることです。そのプロセスは、旧宗主国が新しい時代になっても自らの影響力を維持しようとしていることによって、複雑化しています。

議長、

 最後に強調しておきたいことは、国連の運命はその加盟諸国の手に握られているということです。私たちがしなくてはならないのは、1945年のように、意見の違いを超え、対等な対話と相互の利害尊重に基づき、共通の課題解決に向けて団結することです。国連という場は、そのために必要なすべての条件を作りだすものです。

 ご清聴ありがとうございました。

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