ロシアのアレクサンドル・グルシコ外務次官はリアノーボスチとのインタビューに答えた中で、アメリカ海軍ヨーロッパアフリカ軍のロバート・バーク提督の声明が極めて危険なものであり、黒海での情勢緊迫化の責任を押し付けようとするものだ、と語った。

グルシコ外務次官は、「きわめて危険な声明だ。あからさまに武力行使を脅迫するものだ。あり得べき情勢緊迫化の責任を、狂った人間から健全な人間へと押し付けようとする試み」と話した。

これより先、バーク提督は、どのような場合にNATO軍がロシア軍の艦艇に対して攻撃を行うかについて、「彼ら(ロシア側:編集部註)が我々に先に攻撃をさせようと挑発していることは確実だ。挑発がなければ我々も先に攻撃するつもりはないが、しかし、私の部下たちに対して、アゴに一撃をまず食らえと指示するつもりもない」と語っている。

これより先、アメリカのRAND Corporationは、黒海におけるロシア「封じ込め」戦略に関する報告書を出していた。その中では「ロシアによるクリミア併合と武装化、黒海艦隊の近代化、南部軍管区における軍事力の拡大は、当該地域における(ロシアの)影響力を高め、東地中海および中東への勢力拡大の機会を増やしている」と指摘される。報告書によれば、黒海の安全保障においては純粋に軍事的な問題解決は存在しないことから、地域住民の信頼を勝ち取るためにロシアと争うことが最も有効な欧米側の戦略であるという。「よって、戦略コミュニケーション分野におけるより効果的でより統合的な努力が必要とされており、サイバー脅威およびハイブリッド脅威に対抗していく必要がある。より強固で信頼できる軍事的抑止の体制も必要だ。全方位的にロシアの軍事ポテンシャルに対抗していくのではなく、NATOとそのパートナー諸国は、黒海を越えてくるロシアの攻撃ロケットの脅威に有効に対処するために、最新の対空ミサイル防衛システムの展開とルーマニアとブルガリアにおける沿岸防衛体制の構築を通じた抑止を進めるべきである。ウクライナとグルジアの防衛力を強化するための支援を引き続き継続することで、地域的抑止を高めることができる」とアメリカのアナリストたちは報告書の中で指摘している。

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By KokusaiSeikatsu

『国際生活』はロシア連邦外務省を発起人とする、国際政治、外交、国家安全保障の問題を取り扱う月刊誌です。創刊号は1922年、『外務人民委員部週報』として出版され、1954年に『国際生活』として、月刊誌として復刊しました。今日、ロシア国内だけでなく、世界各国においても幅広い読者を獲得しています。