シリアのAl-Watan紙が、ダマスカスの匿名情報筋からの話として伝えたところによれば、トルコ、シリア、ロシアの三か国国防相によるモスクワ会談の結果、トルコ軍のシリア北部からの撤退が取り決められたという。

また同情報筋は、クルディスタン労働者党(PKK)は「アメリカとイスラエルの手先」であり、「シリアとトルコにとって大きな危険となっている」と強調した。

トルコ軍はシリア及びイラク国内で、クルド人武装勢力の拠点を空から攻撃する作戦を実施。トルコ側は、イスタンブールで6名が死亡し、53名が負傷したテロ事件を行ったクルド人武装勢力の拠点を破壊することが目標だったとしている。

これより先、『国際生活』ではトルコ政府のクルド政策に関する論文を掲載。下記、抜粋を紹介する。

ー80年代から、諸隣国へのトルコ軍による攻撃は常態化している。しかし以前は、イラクへと逃げる武装勢力の追撃やその拠点の破壊に限られていたのに対して、今回のトルコの動きは長期的な関与となるかもしれない。第一に、アカル国防相による軍事行動開始の宣言式が盛大に行われ、すべての軍種の司令官と参謀総長が参加した。これは以前には見られなかったことだ。第二に、アカル国防相は「トルコにとってのテロ脅威というテーマに終止符を打つ」とし、「最後のテロリストが排除されるまで戦いは続く」と述べたことだ。さらに、イラクの「PKKによるテロを根絶する」ためには、シリアにおける関連組織を撲滅しなくてはならないとの考えを示し、そうでなければ、隣国から国境を通じて武装戦闘員の浸透が続くことになるとしている。それに関連して、退役将軍であり、与党・公正発展党に近い政治家であるイスマイル・ハッキ・ペキン氏が『Sabah』紙とのインビューの中で話している内容に注目すべきだ。同氏はそこで、今回の軍事作戦が、イラク北部からトルコを経由して、エネルギー資源を欧州市場へと供給するプロジェクトの一環であるとしている。そのためには、イラク北部におけるのみならず、シリアにおける「安定の保障」が必要であり、その責任は「トルコが負うことになる」という。またイラクにおける作戦行動と並行して、シリア北部におけるトルコ軍の活動も活発化しており、クルド側のマスメディアが伝えるところによれば、トルコとシリアとの秘密協定が存在している可能性もあるという。

(2022年4月26日、アンドレイ・イサエフ、「トルコは再びクルディスタンに向かうーまずはイラクへ」)

https://interaffairs.ru/news/show/38447

By KokusaiSeikatsu

『国際生活』はロシア連邦外務省を発起人とする、国際政治、外交、国家安全保障の問題を取り扱う月刊誌です。創刊号は1922年、『外務人民委員部週報』として出版され、1954年に『国際生活』として、月刊誌として復刊しました。今日、ロシア国内だけでなく、世界各国においても幅広い読者を獲得しています。