ポーランドのマルチン・プシダチ外務次官はPolskie Radioへのインタビューのなかで、もしポーランド外交の努力がなければ、ガスパイプライン「ノルドストリーム2」はとっくに完成していただろうとの考えを表明した。
プシダチ外務次官はまた、現在、ガスパイプラインの完成を認めるような合意がドイツとアメリカとの間でなされたことに対して、多くの反対の声が上がっていることは当然だと指摘した。
「指摘しておくべきなのは、(ノルドストリームの)最初のラインの建設にあたって、ポーランドの現与党連合もアメリカも議論には参加できず、なんらの方策も打つことができなかったことだ。我々がアメリカ政府と良い関係を持っていることによって、この問題にアメリカを引き込むことができた」とプシダチ外務次官は語った。
ポーランド政府として、このパイプラインの許可をめぐる法的手続きを難しくするために、EUの枠内における活動を継続していく、とも指摘している。
6月10日、ポーランドのマテウシ・モラヴェツキ首相はNewsweekへのインタビューのなかで、ノルドストリーム2についてのアメリカの政策変更にポーランドは失望していると語った。「ここ数年にわたって我々はアメリカと協力して、ノルドストリーム2の建設を中止させるもしくは遅らせるために動いてきたことを考えると、今回のアメリカ政府の政策変更には我々ポーランドは失望している」と話す一方で、ノルドストリーム2を支持しているドイツに対しては非難する態度を表明し、「ドイツがそのままEUということではない。ドイツは自らの国益をもったドイツという国であり、その国益がロシアと合致している。しかしそれはトランスアトランティックな利益には合致しない」と述べた。モラヴェツキ首相は、今回アメリカ政府がノルドストリーム2に対する制裁措置を解除することにより、ヨーロッパ市場におけるアメリカのガスへの需要が低下するのみならず、ロシアが「軍事開発や侵略的政策を行うための資金を手にする」ことになると警告している。
2月22日、ポーランドのズビグネフ・ラウ外相とウクライナのドミトリー・クレバ外相はアメリカのジョー・バイデン大統領に対して、ノルドストリーム2の建設を阻止するために「すべての手段に訴える」ことを呼び掛けていた。「ノルドストリーム1の稼働から10年が経過し、ロシアはその第二のラインであるノルドストリーム2の完成に危険なほど近づいている。ロシアはウクライナの主権と領土一体性を侵害し続けており、国際法をまったく無視しているなかで、建設は残念ながらここまで進んでしまった。ポーランドとウクライナは以前より、ノルドストリーム2の建設に関連した危険性を警告してきた。我々の警戒と思い切った措置への呼びかけは、アメリカ議会によって聞き届けられ、この危険で分裂を呼ぶプロジェクトの中止に向けた方策が主張されている。我々はジョー・バイデン大統領に対して、このプロジェクトの完成を阻止するためにすべての手段に訴えることを呼び掛ける」と声明では述べられている。