リャブコフ:言うまでもなく重要です。我々は、中国を評価しており、中国が我々の提案に対して極めて明確な態度を示してくれたことに感謝しています。我々は、非常に幅広い分野で中国と密接に連携しています。ロシアと中国は、文字通り包括的戦略的パートナーシップという特有の関係を築いており、両国の指導者も他には類を見ない関係を築いています。政府機関も緊密に協力しています。大規模な軍事協力もあります。こうした関係は更に深まっていくことでしょう。ロシアも中国も、欧米が生み出している我々へのリスクを過小評価していません。欧米陣営に加わった一部の国は、「かかれ!」という命令を待ち、その他の国は自ら勝手な行動をしようとしています。今後の成り行きを見てみましょう。

我々は冷静に事をすすめており、自らの力を信じています。もし欧米の同僚に向けて一つ助言をするとしたら、安全保障などの国益を守るためのロシアと中国の毅然とした態度を見くびってはならないと言うべきでしょう。我々がどのように互いに協力し、手分けをし、調整していくのかという点に関しては、欧米陣営には関係のないことです。彼らは我々に、この東方拡大問題は、NATOとNATOに加盟を希望する国のみに関与することだと述べています。他方我々は、NATOとNATOに加盟を希望する国に対して、ロシアと中国の間に今後生じることは、両国のみに関与することであり、彼らには関係ないと言って対抗するのです。

アガネシャン:「ノルドストリーム2」について質問してもよろしいでしょうか。ドイツ外相に就任したアンナレーナ・ベアボック氏と彼女が所属する「緑の党」は、兼ねてよりこのプロジェクトに反対しており、もしロシア側の対応がエスカレートするのなら、パイプラインは断固として稼働してはならないと主張しました。この件ついてどのようにお考えですか?

リャブコフ:それついては遺憾ではありますが、厳密に言うと想定の範囲内ではありました。同時に、あまり大袈裟に取り上げることではありません。なぜなら、「ノルドストリーム2」プロジェクトは、米国の同僚や、大勢のEUの政治家や官僚の努力によって、彼ら自身のゲームの掛け金を上げるための切り札となったからです。欧州のガス価格がいくらになろうと、スポットガス契約の見通しがどうなろうと、彼らには関係がありません。ロシアを衰退させるために、あらゆることに逆らって最後まで突き進むつもりなのです。欧米人は、何かを破壊することや、誰かの邪魔をすることを楽しんでおり、ロシアとの闘いの中で大西洋の連帯を示すためなら、自身のポケットから金を出すことも厭いません。悲しいですが、彼らは自身の大義名分の新世代の狂信者であり、ロシアとの闘いの中に自らの生きる意味を見出したのです。

アガネシャン:昨年末に、米国は「民主主義のためのサミット」の開催を呼びかけましたが、これには米国内でも賛否両論でした。この動きは、将来的に国連に取って代わろうとする試みの第一歩ではないでしょうか。

リャブコフ:国連に取って代わろうとする試みは増えつつあります。

今日の米国外交には、とりわけ二つの興味深い傾向が見られます。一点目は、制裁という手段をあらゆる理由で行使することです。近年、米国による制裁措置の頻度は急激に上昇しています。およそ70カ国の国民・企業・政府機関などが何らかの形で制裁下におかれています。

二点目は、戦後に設立され、国際社会に忠実且つ正当に貢献してきた普遍的なフォーマットを犠牲にし、そしてそれに反抗するために、小規模な連合形式の中でこれ見よがしな行動をしていることです。勿論、そのようなことは全てにおいて常に効果的ではありませんし、多くの面において改革、改善、そして変化する世界への適応が求められます。しかし、最も重要なものは普遍的であり続けることです。

「民主主義のためのサミット」は、歴史に新たな一章あるいは新たな一ページさえ加えることは無いでしょう。おおよそ、世界を「友人」と「部外者」に分けようとする米国の一連の試みの中での一つの通過点と言えます。残念ながら、制裁や小規模な連合を通じた努力の中で、自らの優位性あるいは準優位性を高める方法を見出そうとしているアメリカ人は、国際社会において、多国間主義に口頭でコミットし、国際関係における集団原理の強化を支持して新しい活動形式を提唱する国々などに調子を合わせてもらっているのです。私は主に欧州のことを念頭に置いて話しています。しかし、もし私がこの問題をあまりに深く掘り下げたら、ロシアの代表者が再び欧米社会に敵意と不安感を植え付け、なんらかのくさびを打ち込もうとしていると考える人も出てくるのではないでしょうか。私はくさびなど打ち込んでおらず、むしろ現在起きている問題に一線を引いているのです。我々にはその線が見えています。何もかも哀れで、表面的で、非常に馬鹿げたことばかりです。それらは結局のところ、米国自身と、本質的に米国の政治的・地政学的な注文に対応しながらこのゲームを続けている欧州の国々の利益に反する形で跳ね返ってくることになるでしょう。

By KokusaiSeikatsu

『国際生活』はロシア連邦外務省を発起人とする、国際政治、外交、国家安全保障の問題を取り扱う月刊誌です。創刊号は1922年、『外務人民委員部週報』として出版され、1954年に『国際生活』として、月刊誌として復刊しました。今日、ロシア国内だけでなく、世界各国においても幅広い読者を獲得しています。