上海協力機構とユーラシア安全保障の課題

バフティヤル・ハキモフ

ロシア連邦大統領特別代表(上海協力機構)、特命全権大使

(翻訳:青林桂)

会議の資料を興味深く拝見致しました。2020年上海協力機構(SCO)でロシアが議長国を務めたことを考えると、会議のテーマは更なる重要性と現実性を帯びている様に思われます。

SCOは、一方からはロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン、他方からは中国が参加し、国境地区における信頼強化と兵力の削減に合意した交渉を前身とする点を思い出してみて下さい。これが、SCOという枠組みにおいて、加盟国一帯の安全保障と安定性の強化という主題に注意が向けられている所以です。

2021年はSCO設立20年を迎える年です。当然ながら、この年月は歴史的に見ればまだ短いと言えます。しかしながら、この間にSCOはその存在感を強く示しただけでなく、より確実に世界の関心を集めました。また、各国の利害を考慮した合意形成をベースに、安全保障・持続的発展・平和協力という複合的課題の解決が可能なプラットフォームとしての地位を確立しました。今日のSCOの規模は、加盟国・オブザーバー国・パートナー国を含めると、事実上ユーラシア全土、即ち東アジアから東南アジアを経てヨーロッパに渡る広さになります。これは、世界人口の40%以上、GDPの規模で世界全体の4分の1に相当します。SCOには、2か国の国連安全保障理事会常任理事国と、4か国の核保有国が参加しています。一言で言えば、SCOは発展性のある極めて高いポテンシャルを備えた組織なのです。この様な可能性をふまえれば、加盟国同士が力を合わせる事で相乗効果が発揮され、大ユーラシアに位置する全ての国々の利益を叶えることになるであろうと思われます。

この文脈において、SCO加盟国、ユーラシア経済連合、東南アジア諸国連合、そして将来的にはEUのポテンシャルの融合を意味する「大ユーラシア・パートナーシップ」構想を提唱したロシア連邦大統領のイニシアチブが想起されます。この構想は、SCOにおいて明文化され、実務的な注目も益々高まってきています。我々は、この構想実現を目指す協業が、地域安全保障の強化と持続的発展の確保に向けた優先事項の一つであると考えております。

親愛なる同僚の皆様、このご時勢やむを得ませんが、本会議はオンライン形式で実施されております。デジタル化された現実がますます具体性を帯びつつある事は間違い無いでしょう。しかし、仲間達との交流、議論や、時に感情的になりながらも、相互理解に繋がる熱い論争等は何にも取って変える事ができません。我々全員が再び直接お会いできる日が来る事を願っております。スクリーンを眺めながらの決め事は可能ですが、恐らく期待する程の効果は発揮されないのではと思います。

ユーラシアの不安定の弧をテーマとした国際会議は、既にサンクトペテルブルク国立大学アジア研究所の一種のブランドとなりました。会議のテーマは非常に大局的見地に立ったもので、さらなる発展を必要とします。SCO加盟国のみならず、オブザーバー国や対話パートナー国からの参加者を巻き込む事は有益であろうと考えます。

科学的議論は、理論的なだけでなく、実利的且つ応用分析的である事が重要です。既に起きた事象を分析し、今後の状況の展開を予見し、外交業務において要求され得る明確な見通しと提案を生み出す事が不可欠であります。

皆様の有益な議論の成功をお祈り申し上げます。次の年こそは、温かく歓迎して下さるサンクトペテルブルク大学の構内でお会いできると確信しております。ご健勝とご多幸をお祈り申し上げます!

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