アレクサンドル・アナニエフ

ロシア外務省上級顧問(退官)

(翻訳:安本浩祥)

2020年11月9日、アゼルバイジャンのアリエフ大統領とアルメニアのパシニャン首相、ロシアのプーチン大統領は、ナゴルノカラバフにおける休戦についての声明に調印した[1]。

2021年1月11日、モスクワで会合を行った三首脳は、ナゴルノカラバフの発展に関する共同声明に署名し、これに伴い、アゼルバイジャン、アルメニア、ロシアの三カ国の副首相が議長を務める作業部会が設けられた。近いうちに、実務レベルの専門家サブグループが作られ、輸送インフラおよび地域経済発展に関する具体的なプラン策定を行う。

アルメニアにおける国内政治状況は紛争後のいくつかの要因によってかなり先鋭化している。特に、紛争前にあれほど軍と指導者に対して高い信頼を寄せていた社会が大きな失望を感じていることがまず挙げられる。「ギャラップ・インターナショナル」が行った世論調査によれば[2]、ナゴルノカラバフでの戦闘開始直後(2020年9月29日から30日)において、回答者の98%が敵からの攻撃に対する軍の反撃能力を肯定的に評価し、99%が軍の士気の高さに信頼し、94%が戦況についての政府発表を信じていた。

一か月後、すなわち休戦声明(アルメニア人の多くがそれを降伏とみなしている[3])が調印される10日前に実施された世論調査でもほぼ同じ結果が出ている[4]。パシニャン首相に否定的だったのはたった18%であり、現在の野党リーダーであるワズゲン・マヌキャンによる政府辞任要求を支持したのはたった14%に過ぎなかった。

アルメニアの世論が戦争の勝利を信じていたのは、戦場から毎日送られてくる公式発表を信じたためだ。そのため停戦のための「安全地帯」だけでなく、ナゴルノカラバフ共和国の一部割譲を定めた停戦合意への調印は、アルメニアとナゴルノカラバフの住民にとっては寝耳に水であった。国立科学アカデミー哲学社会学法学研究所のゲヴォルグ・ポガシャン氏は、「社会は敗北への準備ができていなかった。一部の住民、特に戦争で家族や知り合いを亡くした人々は、ショック状態に陥った。何が起きているのか、まったく理解できなかったのである」[5]と指摘している。

その状態は怒りに変わった。機に乗じて野党勢力は政権交代を求める大規模な抗議運動に転じた。パシニャン首相は大衆の怒りの前に二三日の間隠れることを余儀なくされ、遠隔で政務を行った。そして敗戦の原因は、自分より前の政権が近代戦への準備を怠ったためであると苦し紛れの説明を行った。

抗議運動の参加者たちは、ニコル・パシニャンを裏切者であるとして、即時辞任を求めたが、すこし盛り返した首相はそれをあっさりと無視した。抗議運動を強制力でもってやめさせる必要すらなかった。現政権への反対勢力の主だった人々に対する訴訟を起こすだけで十分だった[6]。

「ビロード革命」の指導者にとって最もイメージダウンとなったのは、シュニクスカヤ州訪問の際に、地元政府代表者および宗教関係者らに無視されたことだった[7]。

それに対してニコル・パシニャンは、自らのフェイスブック上にて声明を発表し[8]、辞任論議に終止符を打った。彼は、「莫大なる財政的、組織的、メディア的資源を動員しながら、反対派勢力は幅広い民衆の支持を得ることができなかった」と断言した。そして、意見表明の自由を確保するために再選挙を実施するまでは、辞任も内閣の変更も行わないと述べた上で、「人々の信頼が得られれば、この難局に当たってアルメニアの首相として職務を全うする用意がある」との考えを示した。

ニコル・パシニャンは2021年中に議会の解散総選挙を実施することを提案し、「議会勢力および関係する議会外勢力」に対して、協議に参加するよう呼び掛けた。

これは反対派勢力にとっては受け入れがたい状況だ。アルメニアの政治学者であるグラント・ミカエリャンは、「安定したプロパガンダマシンと政府としての力を動員できることを背景に、ニコル・パシニャンは選挙で勝利することができると考えており、2026年まで政権を維持できると考えている」[9]と指摘する。

情報の対立

「ビロード革命」による政権奪取から2年半の間、ニコル・パシニャンは「第四の権力」をコントロールするために多くの努力を払ってきた。情報自由センター代表のシュシャン・ドイドヤンによれば、2018年5月から2019年6月までの1年間だけで、マスメディアに対する名誉棄損罪の訴訟は91件であり、「これは名誉棄損罪が導入されてからの5年間で起こされたすべての訴訟を合わせた数に匹敵する」[10]という。アルメニアジャーナリスト連合議長のサティク・セイラニャンは、「アルメニア政府は言論の自由を狙い撃ちした政策を行っている」[11]と指摘する。ジャーナリズム関係者らの目には、政府の行動はあたかも「政治的復讐」に映る。

言論界の一部からは、反対派勢力のメディアへの攻撃を政府が扇動しているのではないかと疑う声もある。例えば、2019年10月には、反対派メディアである「Hayeli.am」のプレスクラブとオフィスが若い活動家らのグループによって襲撃される事件が起こった。「Hayeli.am」は、憲法裁判所裁判長を務めたG.V.トヴマシャンの娘であるA.V.トヴマシャンが所有しており、政府に批判的なメディアへの脅しであると考えられている。

アルメニアのメディア空間において、政府は自らの立場を強化しようとしている。放送規制を担当する官庁のポストには政権に近い人物が充てられている。2020年7月には、テレビラジオ放送法が改正され、多くの民間放送チャンネルは、誰でも見られる状態から、衛生ケーブル放送へと移行した。この法律によれば、テレビ放送の許可を得るためには、会社の出資者、関係者、5%を超える株主などの情報を提供しなくてはならないほか、収入源についても申告しなくてはならず、アルメニアで騒がれている «Vetting»(審査による締め上げ)がマスコミにも適用される形だ。

ホールディング(例えば、元大統領サルグシャンの婿であるミナシャンによる「メディア帝国」)の出現を回避するために、個人もしくは法人は、一つの放送会社以外の株主や所有者になることはできないと規定されている。

またマスメディアの財務状況の公開という広く議論されている問題も、今回の法改正に反映されている。収入源として認められるものを規定するとともに、テレビ会社は毎年の決算と、収入源ごとの収入額を、自社の公式サイトで公開しなくてはならない。

現在の政権は、情報空間における自らの立場を強化しようと様々な策を打っており、自らに忠実なマスメディアに加えて、役割が高まり続けているソーシャルメディア、特にフェイスブックを政治情報の配信に使用しており、この点ではテレビ局も顔負けの動きを見せている。

若者の間で最も人気のあるメディアは依然として西側寄りのメディアだ。

その中でもいままでと同様中心的な位置を占めているのが、ポータルサイト「ラジオ・スヴァボーダ」(「Azatutyun.am」)だ。2018年、まさにこのサイトが集会やデモの様子を現場から直接伝え、その結果、「真実な生の情報」を提供するサイトとしての立場を確立した。現在、ウェブサイトのほかにインターネットテレビも行っており、ケーブル放送では「ラジオ・スヴァボーダ」のアルメニア放送チャンネルがある。

今日「スヴァボーダ」は、政権側を支持する「メガホン」となっている。一部の専門家は、この支持は一時的なものだと指摘しているが、反ロシア的レトリックは一時ほどでないにせよ依然として支配的だ。

全体としてみたとき、政権側の努力にもかかわらず、アルメニアのメディア空間には一種の混乱が見られる。それは政権側と反政府側との情報対立の結果であり、両陣営ともにフェイクニュースなどの手段を使うこともいとわないからだ。

専門家の意見によれば、アルメニアにおいて両陣営からのフェイクニュースの割合はかなり高いという。

マスメディアのモニタリングおよび言論の自由に携わっているNGO関係者らは、政権側によって管理され、政府系非営利組織「社会情報通信センター」によって運営される「フェイク工場」がいくつか存在しており、アルメニアで人気のあるフェイスブックにおける情報統制に利用されているという[12]。メディア専門家でブロガーのティグラン・コチャリャンによれば、政府のために動いている「フェイク工場」は、表向きにはソロス財団の関連団体となっているという。

「フェイク工場」または「トロール工場」は、議会や政府の関係者らによってコントロールされている。つまり、各省庁は自前で情報を監視し、それに対応するためのグループを作っているということだ。しかしこのグループには、10から15のフェイクアカウントを作るという明確な任務がある。「フェイク工場」に属するそのようなアカウントはアルメニア全体で6万とも9万ともいわれ、15人からなる一つのグループは、一日当たり最低でも1000から1500のコメントを生産し、3000から1万のいいねを行っている。

野党「啓蒙されたアルメニア」の議員であるアニ・サモニャンの意見では、カラバフ人への憎しみをあおるプロパガンダのような社会で憎悪の種を蒔き散らすような動画を配信する人々が、政府からの支援を受けているという。

サモニャンは、すでに2年半にわたって政府寄りの「フェイクマシン」が機能しており、与党に批判的な考えを述べる人々を攻撃していると指摘し、「政府はこの『工場』を利用して、バーチャルな国家をつくり出し、重大な決定は基本的にこの『フェイク工場』によるプロパガンダによって行われるのです」と話す。

敗戦後のエレバンにおける抗議活動が行われている間、野党側の活動家らが「トロール」の主な標的となった。それに対抗して、反対勢力側でも、自らに忠実なマスメディアを使い、政権のあら探しを行い、時には事実に相違するデータまで使って、攻撃を行っている。そのような「情報投機」の典型的な例としてあげられるのが、「2008年3月1日事件」である。そのなかで両陣営は、フェイクや虚偽情報を拡散し合った。現在、投機の焦点は敗戦の原因と犯人捜しに移っている。

以上みたように、今日のアルメニアにおいては、激しい情報対立が起こっており、両陣営ともに虚偽情報の拡散を行っている。現在、おおよそ両勢力は均衡しているため、政権側も反対派メディアを大規模に取り締まることができないでいる。しかし、情報戦争における「勢力均衡」が崩れた時、政府が決定的な行動に出ないとは限らない。

ニコル・パシニャン支持者の陣営

与党によって行われる情報キャンペーンは、自らの成果も生み出している。社会の少なくない人々が革命政権をいまでも信じており、それを変える必要はないと考えている。彼らにとってパシニャン政権の瓦解は、二重の悲劇となったことだろう。

ナゴルノカラバフの一部割譲を定めた停戦合意に調印した後に実施された「ギャラップ・インターナショナル」による世論調査(11月下旬実施)[13]によれば、首相の辞任を支持した数(45%)は、留任を求める数(38%)をそれほど大きく上回ってはいない。臨時政府の樹立と解散総選挙を求めたアルメン・サルキシャン大統領の呼びかけを支持したのはたった35.8%であり、49.1%はそれに反対だった。抗議活動を支持したのは34.8%にすぎない。アルメニアを大統領制に戻すことを支持したのは32%、38%は議会制共和国を支持した。

もちろん世論調査の後抗議活動はより一層強まったことを考えなくてはならないが、それでもニコル・パシニャン陣営から大量に造反が出るような事態には至っていない。

2021年1月時点において、ニコル・パシニャンがリーダーを務める議会会派「私の一歩」は第七回アルメニア国会にて憲法多数(132議席中88議席)を占めている。アゼルバイジャンに有利な形で多くの領土を割譲した三か国停戦声明に調印した後、与党会派「私の一歩」の議員のなかから議員辞職をするものが出たが、中央選挙管理委員会は、その議席を候補者名簿の次の候補者に割り当てた[14]。そのため、議会内での政治勢力図は維持された。

新年の休みに入る前の総会で、戦時体制の終結を検討するための臨時総会の招集を求める野党に対して与党側は、同じ問題に関する総会を1カ月に二度行うことはできないという規定を理由に、提案を却下した。政権側は少なくとも2021年2月まで戦時体制を維持する決定をしている。

野党からしてみれば、政権側は戦時体制をわざと引き延ばしている。なぜならその間においては、停戦合意以降野党側が一貫して求めてきたニコル・パシニャンの辞任を求めることが禁止されているからだ。

野党側は、カラバフにロシアの平和維持部隊が入ったことを受けて、もはや戦時体制の延長は必要ではないと考えている。

しかし、たとえ戦時体制が撤廃されたところで、現職首相を憲法的手段でもって辞職させることは簡単ではない。法律では、解散総選挙を行うことができるのは、首相の辞職があったときのみである。首相の辞職後、議会が二度にわたって後任首相を選出することができなかった場合、解散総選挙が実施される。そのためには議会勢力の合意を得ることが必要だ。

辞職を拒否しているニコル・パシニャンは、辞職後の身の安全を懸念しているのみならず、新しい地政学的状況のなかで、自らの声望を取り戻そうとしている。「ビロード革命」における仲間たちも自らのリーダーに対して、「『ビロード』のことは忘れて、次は治安システムの助けを借りて、社会における安定と秩序を確立する」ことを求めているのだ。

「私の一歩」は、2018年春の政権交代の原因となった抗議運動において中心的役割を果たした。支持率がじりじりと低下するなか、特に2020年秋の軍事行動における指導力の欠如が明らかになった後ではその傾向が顕著であったが、それでも、「私の一歩」はアルメニア政界において大きな勢力のままである。

アルメニアとアゼルバイジャンとの間での停戦、そしてナゴルノカラバフへのロシア平和維持部隊の投入の後、アルメニア政府はことあるごとにロシアとの相互理解をアピールしてきた。例えば、アルメニアの捜査当局は、ロシア企業に対する捜査を停止した(ロシア鉄道の子会社である南部カフカス鉄道、そしてガスプロムアルメニアに対する捜査が行われていた[16])。2020年12月末、アルメニアはロシアとの間で、マスコミュニケーション分野における協力合意を締結し、ロシアの放送局3社(「RTR-Planeta」、「Rossia-Culture」、「第一放送・国際ネットワーク」)がアルメニア国内で放送できることとなった。これより前の2020年夏の時点では、アルメニアにおけるマスメディアのオーディオビジュアルサービスに関する法律の改正により、ロシアの放送各局は「情報安全保障上の懸念」があるとして、アルメニア国内で一般に開放されているデジタルネットワークから締め出されていた[17]。

反対派勢力の政治家らの意見では、パシニャンによって政権側のポストにつけられた仲間たちは、アメリカの奨学金によって育ち、欧米寄りの志向を持っているため、ロシアに対してしばしば頭を下げることがあったとしても、状況が好転しさえすれば、自らの思うところに従って行動するようになるだろうとみられる。

欧米から資金援助を受けるアルメニアのNGOは[18]、アルメニアの政治において無視できない勢力であり、アルメニアの世論および政府に対して影響力を行使できる立場にある。国内の社会団体との活動の経験や親米派のアプローチの分析を通じてわかるのは、欧米勢力の影響力はその体系的かつ集中的行動、および十分な資金的リソースによって強化されているということだ。

「ビロード革命」の後、欧米寄りのNGOの出身者たちは、新政権の核を占めている。政府内の主要人物の多くは教育のすべてを海外で受けているか、その他さまざまな交換プログラムや留学により一部を海外で受けているかである。例えば国会議長のミルゾニャンは2014年から2017年までオランダの政党民主主義研究所で政党および戦略計画の専門家として勤務していた。最近辞任した教育科学文化スポーツ大臣であるアルチュニャン(アルメニアにおけるマリファナ合法化の急先鋒であった)は、2014年から「Transparency International」のメンバーでもある。国家安全保障評議会書記のグリゴニャンは、2015年から2018年まで同組織の活動的なメンバーであり、2018年4月の事件のなかでは暴動を組織した疑いで拘束されている。「私の一歩」の議長であるリリト・マクンツは2016年からアメリカ平和部隊と契約していた経歴を持つ。

最近の動向を見ても、アルメニアの政治指導層は多くの場合、NGO団体の主張に耳を傾け、政策決定の際にその意見を入れざるを得ない状況が明らかである。

先日行われたインタビューのなかでニコル・パシニャンは、「革命前のエリート」の全勢力からの抵抗にあっていることを認めている。政治勢力同士の間ではさまざまな対立があるが、パシニャンを追い落とすという目的の下に団結している。その状況をパシニャンは、「旧エリート」による抵抗と位置づけ、田舎の人々にとっても理解できるような「新しいエリート」が必要であると主張する[19]。

アルメニアの政治学者らの意見によれば、もしニコル・パシニャンが総選挙で支持されることがあれば、彼は政治、裁判、報道、化学、文化のすべての分野において「旧エリート」の追い出しを図り、それは危機からの脱出に向けた一致団結を促すものではなく、さらに大きな社会の分裂につながるだろうと指摘している。

反対勢力の陣営

それに対して反対勢力はなにを提案し、そもそもどういった人々からなるのだろうか。

カラバフに関する三か国声明にニコル・パシニャンが調印したことに対して、エレバンでは昨年11月10日以降、17の野党勢力が集会を行っている。野党側は首相の退陣、救国委員会の設置、声明の一部条項の変更を求めている。野党勢力のなかでも主だったものは、アルメニア革命連盟、繁栄するアルメニア、アルメニア共和党、そして2020年5月に結成されたアイレニク(「祖国」の意)である。

最初の三つの政党に対するアルメニア世論の評価は、2018年12月9日の議会選挙にて明白に示されている。三つの政党は過去20年にわたって、国の事実上のトップであり続けてきた政党である。

建設的な野党として自らを位置づけた「繫栄するアルメニア」は、「私の一歩」(得票率70.4%)に対して大きく水を空けられたものの、8.27%の得票率で最低得票数をクリアし、26名の議席を獲得した。過去10年にわたって政権の座にあったアルメニア共和党およびアルメニア革命連盟はそれぞれ4.7%、3.89%の得票で、最低得票数をクリアすることはできなかった。

2004年に結成された「繁栄するアルメニア」は、中道右派、リベラル保守政党である。一部の専門家が見るところでは、アルメニア第二代大統領のコチャリャンがその創設に関わっているという。表向きの党首としては企業家のツァルキャンが任命されたが、その任務は党の財政を支え、組織を整えることだった。しかし、サルグシャンのアルメニア共和党が政権の座について以降、ツァルキャンは当初掲げられていたような強硬な野党として党を位置づけようとはしなかった。「繁栄するアルメニア」の議会での行動を見てみると、外交問題をはじめとする基本政策においてツァルキャンの考え方は、アルメニア共和党と近しいものであった、ということで専門家らの意見は一致する。

「ビロード革命」の際、「繁栄するアルメニア」は抗議運動のリーダーであったパシニャンを支持した。2018年の解散総選挙では議会第二党となった。ツァルキャンの政党は地元で広く慈善事業を行っており、選挙には強い。そのためブロックや連立を作ることなく、議席を確保する力がある。

アルメニア共和党は、中道右派、民族保守政党であり、1990年の結党(イデオロギーとしては民族主義者ガレギン・ヌジュデの系譜をひいている)。他の党との関係調整に腐心し、アルメニア今日sン党は様々な政治ブロックの創設に参加してきた。サルグシャン大統領の時代(2008年から2018年4月)、サルグシャン自身がアルメニア共和党の議長を務めていた。

他の旧ソ連諸国と同様に、与党としてのアルメニア共和党は「政権党」としての悪い面を多く持っていた。その党員は主に、政府高官、公務員、政府との深い関係を持つ大資本財閥であった。2018年の「ビロード革命」の後、アルメニア共和党は政府における地歩を完全に失った。また総選挙で議席を獲得できなかったのは、党内の停滞、非効率な運営、党内派閥の対立、汚職の蔓延といった理由による。社会の側からは客観的に見て、政治勢力の一つであるとはもはやみなされなかった。

政権側に足場を失っただけでなく、イメージも大きく傷ついたアルメニア共和党であるが、解党には至らず、アルメニアの政界から退こうともしていない。多くの人が予想していたようなリブランディングや指導部の刷新などは行われず、一時的に下野しただけであって、再び中央に返り咲くと息巻いている。

党は、自らが政権の座にあった時代の政策を今後も継続していくとしている。

専門家らの意見では、アルメニア共和党はメディアリソースを多く有しており、それを使って外交、内政の各政策について政権批判を行うことで、世論の形成においては大きな役割を果たしているという。現政権側からいくら「過去の遺物」というレッテルを貼られようとも、政治全体から見てみれば、依然として重要なアクターであるとみるべきだろう。

アルメニア革命連盟は、アルメニアでも最も歴史のある政党であり、民族主義的かつ社会主義的志向を持つ。現在の社会主義インターナショナルのメンバーでもある。2018年の総選挙でアルメニア革命連盟は初めて、最低得票数をクリアすることができなかった。「ビロード革命」のなかではニコル・パシニャンを支持した。

アルメニア革命連盟は現在、パシニャンの内政、外交政策には一切同意しておらず、ポピュリズム的政策であると非難している。アルメニア革命連盟は内閣の人事にも同意しておらず、引き続き抗議活動を続けていくつもりだ。戦略的には、革命連盟はナゴルノカラバフ共和国とアルメニアとの統合を訴えており、自治独立共和国としてのカラバフの立場は暫定的なものにすぎないとしている。

革命連盟が選挙で思わしい結果を修めることができなかった理由としては、伝統的に、また意識的に、革命連盟では一人の指導者の下に集まるということを避けてきたことがあり、そのような指導者が現れれば、党から追放することもしばしばである。

アイレニク党(「祖国」)は、かつて国家安全局の局長を務めたアルトゥル・ワネツィアンによって創設された。ワネツィアンは2019年秋、ニコル・パシニャンの命令により、国家安全局を解任された。解任後、ワネツィアンは現政権の批判を行うようになり、刑事罰の容疑をかけられることもあった。アイレニク党は、パシニャンの党に対抗するための反対党である、というスタンスをとる。「わが国民には、現実の問題に国民を団結させるような政府が必要であり、目先の国民感情につけこむような政府は不要である。我々が必要とするのは、作られた虚偽の政治課題に取り組む政府ではない。偽の救国者など不要であり、真の指導者を必要としている」とワネツィアンは語っている。

抗議活動に参加する他の政党は、かつて影響力を持った政治家たちを支持する個別のグループに過ぎない。抗議活動に参加したアイク・バブハニャン(憲法権利連合党代表)によれば、10月中旬と比べてパシニャンの辞任を求める政治勢力の構成に変化が見られるという。いくつかの政党は立ち去り、ほかの政党が加わり、ほかの政治社会運動家たちと手を組み、結果として12月には「救国運動」[20]が結成された。

かつての大統領であるセルジ・サルグシャン、ロベルト・コチャリャン、レヴォン・テル=ペトロシャンなど、最もカリスマ性のある政治家たちは今のところ陰に隠れているが、「パシニャンのトロール」から情報空間が解放される時を静かに待っているのであり、治安機関が現政権の支配下から解放されることを待っている。その時が来れば、彼らも選挙活動を始めるだろう。

2020年12月4日、救国運動は、多大なる人的、領土的、軍事的、地政学的被害をもたらした首相の辞任を求めて、統一首相候補を擁立した。74歳のベテラン政治家ワズゲン・マヌキャンである。1990年代初頭には非共産党政権における第一副首相を務めたが、その政権はアルメニアソビエト社会主義共和国共産党を政権の座から追い落として成立した政権である。カラバフ戦争の際、国防大臣として軍事行政官としての才能を発揮した。1990年中ごろからレヴォン・テル=ペトロシャン大統領に反対する側に回り、1996年の選挙結果に異議を申し立てることもあった。最近のワズゲン・マヌキャンはアルメニア社会評議会の議長を務め、2019年秋に引退した。

誰がどのように選挙活動をコントロールするか?

反対勢力側の計画によれば、まず第一に首相の辞任を勝ち取る必要があり、パシニャンを辞任させるために4つの方法が考えられている[21]。

まず第一に、内閣が自身で退陣を宣言すること。第二に、議会が臨時総会を開催して、パシニャン辞任を議論すること。第三に、検察庁が国家反逆罪の容疑により刑事訴訟を起こすこと。第四に、三分の二の大臣の要求により政府が臨時閣議を開催し、首相の辞任問題を議論すること。

その後、ワズゲン・マヌキャンが首相の座に就き、国民統一政府を作る。所属政党による人事ではなく、本人の能力、実力により人選を行う。首相は次の解散総選挙にはいかなる形であれ参加しない義務を負う(マヌキャン自身も、彼の政党「民族民主連合」も、いずれも選挙に参加しない)。

政府は一種の超党派の組織となり、テクニカルな性格を帯びる。一年の間に安定化施策を行い、国を再び正常に機能させ、選挙法の改正を準備し、法に則った有効な議会選挙を保障する。

野党勢力の意見によれば、パシニャンはアルメニアの国家性を破壊し、政権はしっかりとした選挙を実施することができない。これは野党側にとっては切実な問題であり、首相の立場と職権が乱用され、政権党に有利な選挙戦を行うようなことがあってはならないのである。

反対派勢力が擁立した統一候補が公に語っているところによれば、彼とプロフェッショナル集団は1年の間で解散総選挙を準備し、ここ2年半の間にアルメニアメディアを牛耳っている「パシニャンのフェイク工場」を解体し、情報空間を解放するとしている。

さらに、「ポリトエコノミヤ」研究所の所長であるアンドラニク・テワニャンは抗議勢力の立場について、「現政権による解散総選挙は反アルメニア的一歩であり、アルメニアの安全保障に脅威をもたらす。パシニャンとの対話を行う準備があるとする政治勢力は同様の責任を背負い込むことになり、アルメニアの安全保障問題を深刻化させることになる」[22]と指摘する。

パシニャンと解散総選挙について議論するつもりがないことについて反対派勢力は、選挙戦の開始とともに人々が生産活動から切り離されること、国内で経済的人道的な危機が発生すること、選挙戦のなかで不可避的に発生する集会などによってコロナウイルス問題が深刻化すること、現政権はアルメニアの安全保障について語る資格がないことなどを理由として挙げている。

そのようなシナリオで行けば、アルメニアで内戦が発生する可能性すらある。パシニャンは辞任しない理由として、「世論は辞任を求めていない」とし、「抗議運動はエリート的なもので、一般大衆の支持を得ていない」、抗議活動は下火になってきており、反対勢力はこれ以上の人を動員することができない、としている。テワニャンによれば、「民衆は反対勢力に過激的要素が足りないことを不満に思っている。人々が通りに出ないのは、パシニャンを支持しているからでなく、過激なスローガンが見当たらないからだ」という。いいかえれば、抗議活動が過激化すれば、ただでは済まされないということだ。

同じ意見を述べるのは、アルメニア革命連盟最高機関議長のイシハン・サガテリャンである。12月22日反対派勢力の集会で演説したサガテリャンは、与党ブロックの議員の名前はすべての国民の知るところであり、国民は自らが正しいと思うことを実行する自由があると指摘し、「『私の一歩』の議員が国の運命についての自らの責任を理解していないなら、我々は皆さんと一緒になって彼らに説明しなくてはならない」と語った。また同じくアルメニア革命連盟のゲガム・マヌキャンは、議員のリストを読み上げた後で、いまのところ彼らの電話番号を公表することはしないが、非逮捕特権を保障することはできないと話した[23]。しかし野党側のリーダーたちは、アルメニアが直面する問題をいかに解決するか、について具体的に方策を示せておらず、ニコル・パシニャンに失望したアルメニア国民が、選挙においてかつての政権党を支持するのかどうか、考えていない。「ビロード革命」で政権を追われたかつての政権党は、まさに民衆の圧倒的な支持のもとで放逐されたのだ。

パシニャンの即時辞任を求める人々の多くは、臨時政府という考えを支持していない。なぜなら臨時政府は1年間議会の構成をそのままにする予定であり、そこではパシニャンの「私の一歩」が憲法多数を握ったままだからだ。その中には、ソロス財団の出身者も多くあり、スポンサーの意向を反映しようという考え方を持っている。そのため、反対派勢力が法律改正や人事異動を提案したところで、与党議員はそれを妨害し、不法なものとして片付けるだろう。そのため、アルメニアの復興のためにすべての権力が建設的に機能するまで結局は1年間待たなくてはならなくなる。

パシニャンが提案している解散総選挙をボイコットしようという17の政党による呼びかけに、すべての党が賛成しているわけではない。野党側の計算ではパシニャンの党は一人では選挙を行うことはできないが、ボイコットはなににもならない。というのも、パシニャンの政党である「市民契約」のほかに、与党ブロック「私の一歩」には「使命」という政党が参加しており、それは選挙に参加するからだ。そのほかにも、政権に忠実で、新欧米・反ロシアの小政党のいくつかが参加するだろう。そのなかには、アラム・サルキシャンの共和国党(ワズゲン・サルキシャン元首相の兄弟)、市民の選択党、統一労働党(グルゲン・アルセニャン)、アルマン・ババジャニャンの「共和国のためのイニシアティブ」などが含まれる。およそ10の政党が選挙に参加することになり、そうすれば選挙は合憲と認められてしまう。

アルメニアの政治学者グリゴール・バラサニャンによれば、ニコル・パシニャンはワズゲン・マヌキャンと17の野党に政権を渡すことはない。パシニャンは自分で解散総選挙を行い、その後、アルメニア政界を去ることも考えられる。

抗議活動ではパシニャンを追い落とすことはできないことを理解したのか、今年1月27日、前大統領のロベルト・コチャリャンは声明を発表し、それは大きな反響を呼んだ。彼は総選挙に出馬することを表明したのである。「自分のチームを率いて出馬し、勝利を収める」と。救国運動(17の野党)は総選挙を議論することさえしないという立場をとり、世論からは選挙への不参加ととらえられていたが、コチャリャンはそのような立場と一線を画すことを明らかにしたのである。コチャリャンは、「もし政権が選挙の実施を強行するとすれば、参加するのが正しいというべきだろう。そうでなければ、政権側が政権を維持するだけだ。我々には選挙を戦うために必要なものが揃っており、自らのチームがある」と語る。

専門家らの意見では、コチャリャンの追い風になるのは2つの重要な要素である。まずロシアのプーチン大統領と友人であること。ロシアはアルメニアの安全保障に鍵となる役割を果たしている。さらに、効率的な運営手腕があるというイメージである。コチャリャンは自身が大統領時代にそれを示した。一方、2008年3月1日に発生した抗議運動を強行的に弾圧したということ、および汚職のイメージは、彼にとっては向かい風となる。

沈黙する民衆

アルメニア情勢全体としてみた時、民衆がパシニャンに対して立ち上がり、パシニャンがセルジ・サルグシャンを追い落とした2018年春に見られた以上の激しさをもって、パシニャン政権を転覆するだろうと思われた。しかし、すぐに明白になったことは、アルメニア世論は予想と違った動きをしたということだ。アルメニア世論はいまのところそれほど目立った動きを見せておらず、敗戦国にみられる一種の無関心が支配している。反パシニャンの動きが消極的である背景には、ワズゲン・マヌキャンがその対立候補であるという要因も働いている。彼は社会的に一定の尊敬を受けてはいるが、彼を支持しているのは旧政権側の人間であるということだ。政権側のメディアは、反政府運動およびマヌキャンの擁立について、かつての大統領であるコチャリャン、サルグシャンからの支援があること、さらにサルグシャンの婿でかつての駐バチカン大使であるミナシャンの支援があると主張している。彼らは2年半前に「ビロード革命」によって追放された側であり、マヌキャンが反対勢力を盛り立てること、民衆がそれを支持することはあまり考えられない。

一方、政権に忠実な治安機関は反対勢力が故意に抗議をあおっていると非難している。国家安全局の声明では、「今ある情報によれば、いくつかの法人および地方公共団体の代表者らが、説得や物理的支援、一部の場合においては免職の脅迫でもって、部下たちを集会へと参加させている」という。それに伴い、国家安全局は、「雇用側の違法な要求にこたえないこと、集会に強制的に参加させられた場合はそれを公表すること、関係者の責任を厳しく追及すること」を呼び掛けている。

アララト州政府がフェイスブックに発表した声明によれば、ラズミク・テヴォニャン知事は、名前こそ公表していないが、反対勢力の行動を、権力に固執する行動としている。「権力に固執する一部の人々は、虚偽の情報を拡散し、民衆をパニックに陥らせようとしている。この行動は、世論に対するメディアテロを十分に裏付けるものだ」[26]と声明には書かれている。

現政権と旧政権の間での情報合戦への失望について、政治学者のアンドリアス・グカシャンは的確に述べている。「『私の一歩』も、アルメニア共和党、繁栄するアルメニア、アルメニア革命連盟も、公正で透明性のあるまっとうな選挙を行おうというつもりはない。世論一般として、それらすべての政治勢力に対する信頼を失っている。これは理屈としても簡単に納得できる。民衆は、彼らの誰も公正な選挙を実施するための条件を提示していないことを知っている。彼らは自らの権力維持か、権力を取り戻すことにしか関心がない」と[27]。

以上のことから、アルメニア社会の前には、いずれも受け入れがたい二つの選択肢しか残されていない。忠実な治安機関と議会のコントロール(議会ではパシニャン個人に対して恩義を感じている人々が憲法多数を握っている)を通じて政権にとどまっているニコル・パシニャンか、過去の信頼失墜からいまだに回復していない旧政権側か、という選択肢である。

このような状況において、アルメニア社会は前向きな統一政策と建設的な復興政策を併せ持った「第三の勢力」を求めており、信頼を失った旧政権とも、現政権のポピュリズムとも距離を置いた勢力が必要だ。このような勢力は、次の選挙で一気に勝利することはできなくても、確実に勢力を伸ばすことができるだろう。

アルメニア民衆の大多数の要望を反映するような「第三の勢力」が現れることなくして、次の選挙は誰の関心も引きつけはしない。2018年12月、革命の陶酔が最高潮に達し、パシニャン支持者の動員が最高潮に達したときでさえ、有権者の半分も投票しなかった。そうなれば今度の選挙での投票率はさらに低いものになるだろう。その場合、選挙の勝利者はたとえ合憲であると認められたところで、民衆の目からしてみれば、正当な代表とみなされることはないだろう。

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1Заявление Президента Азербайджанской Республики, премьер-министра Республики Армения и Президента Российской Федерации. 10 ноября 2020 г. // URL: http://www.kremlin.ru/events/president/news/64384

2Research Report «Eye for an Eye, a Tooth for a Tooth». September 2020 // URL: https://www.gallup-international.com/wp-content/uploads/2020/10/Report_september_2020_war_EN.pdf

3Ананьев А. Вокруг карабахского конфликта // http://www.interaffairs.ru 24. 11. 2020.

4Research Report «Compressed spring». October 2020 // URL: https://www.gallup-international.com/wp-content/uploads/2020/10/War_30.10.2020-3.pdf

5Газазян А. Армении нужна полная политическая перезагрузка // https://www.ng.ru/dipkurer/2020-12-13/11_8038_armenia.html

6Фигурантом уголовного дела за публичные призывы к насилию стал председатель партии «Национальная безопасность» Гарник Исагулян. «Тому, кто пристрелит Никола, нужно присудить звание национального героя или выдать миллион долларов в качестве премии» – эта его фраза привлекла внимание Следственного комитета Армении. Армянского оппозиционера задержали за призыв убить Пашиняна // https://www.interfax.ru/world/742672

7Священнослужитель Паргев Зейналян: «Вся страна находится под угрозой, пусть и я буду в опасности» // https://armenianreport.com/ru/pubs/268557/

8https://www.facebook.com/nikol.pashinyan/posts/2852651351721908

9Никол Пашинян решил отдаться на милость проигравшего // Коммерсантъ. №239 (6960) 26.12.20 // https://www.kommersant.ru/doc/4635719

10За год против СМИ Армении было представлено рекордное количество исков о клевете и оскорблении // https://yerkramas.org/article/154899/za-god-protiv-smi-armenii-bylo-predstavleno-rekordnoe-kolichestvo-iskov-o-klevete-i-oskorblenii

11СЖА: 90 исков против армянских медиа – целенаправленная политика против свободы слова (newsarmenia.am) // https://newsarmenia.am/news/analytics/szha-90-iskov-protiv-armyanskikh-media-tselenapravlennaya-politika-protiv-svobody-slova-/

12Как действует в Армении «фабрика троллей»? // https://ru.armeniasputnik.am/society/20201126/25504854/Travlya-karabakhtsev-i-roditeley-propavshikh-soldat-kak-rabotaet-armyanskaya-Fabrika-trolley.html

13По материалам презентации Research Report «Again…». November 2020 // https://runews24.ru/politics/04/12/2020/9434bd22ec2b15023926af1d4cb14161

14Армянская правящая фракция «Мой шаг» произвела замену депутатов // https://newsarmenia.am/news/armenia/armyanskaya-pravyashchaya-fraktsiya-moy-shag-proizvela-zamenu-deputatov/

15Депутаты фракции «Мой шаг» призвали забыть о «бархате» // https://news.myseldon.com/ru/news/index/241306841

16Армения грозит российскому бизнесу налогами // https://www.kommersant.ru/doc/3799583

17Три российских телеканала смогут вещать на территории Армении // https://rossaprimavera.ru/news/dba4f746

18Согласно данным Агентства государственного регистра юридических лиц Министерства юстиции РА, по состоянию на август 2019 г. в стране номинально насчитывается 4616 неправительственных организаций. В общественно-политическом и медийном поле Армении, а также в правозащитной сфере постоянно функционируют порядка 200 общественных организаций. Общий объем ежегодного финансирования НПО Армении со стороны западных стран, по оценкам ряда экспертов, составляет несколько десятков миллионов долларов.

19Zham (Армения): Пашинян признался, что преследовал цель заменить в Армении «старую элиту» на соровско-турецкую // ИноСМИ – Все, что достойно перевода / Политика // https://inosmi.ru/politic/20201230/248854174.html

20Единственно верный путь построения Сильной Армении – в Новом Союзе с Россией // https://www.iravunk.com/?p=189787&l=ru

21Есть четыре пути: противники Пашиняна перечислили варианты его отставки // https: //radiosputnik.ria.ru/20201222/pashinyan-1590453181.html?in=t

22Досрочные выборы в Армении могут привести к катастрофе // yerkramas.org

23В Армении предложили способ заставить депутатов сместить правительство // https://rossaprimavera.ru/news/24992cfb //

24Большое интервью Роберта Кочаряна о ситуации в Армении // https://arm-portal.ru/news/society/bolshoe-intervyu-roberta-kocharyana-o-situaczii-v-armenii-27-01-2021-video.html

25В СНБ Армении заявили о случаях принуждения к участию в митингах // https://news.rambler.ru/world/45387525-v-snb-armenii-zayavili-o-sluchayah-prinuzhdeniya-k-uchastiyu-v-mitingah/

26https://ru.armeniasputnik.am/politics/20210104/25996381/Gubernator-nazval-mediaterrorom-zayavleniya-eks-premera-Armenii-o-sdache-sela-Tigranashen.html

27Ни Пашинян, ни Манукян доверия общества не заслуживают // https://arminfo.info/full_news.php?id=59704&lang=2

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