軍部は、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)使節団との交渉に臨み、文民政権を樹立するために三年間の移行期間を設け、その間は軍の代表者が国のトップを務め、政府は主に軍人によって構成される旨を告知した。

同日、CNSPは退陣したケイタ元大統領の釈放を決定し、バマコの自宅に戻るか、海外で治療を受けるかという選択を迫った。75歳の元大統領は後者を選んだ直後に入院、その数日後にはアラブ首長国連邦に渡った。

野党代表者らとの協議が開始し、CNSPは一年半以内の民政移行に合意した。9月には、17の選挙人グループがバ・ヌダウを大統領に指名した。彼は2014年からクーデターまで国防大臣を務め、その前はソ連の軍事学校で学び、ヘリコプターパイロットの資格を取得している。M5-RFPの幹部たちはこれを支持した。また、バ・ヌダウの選出は、マリの宗教・政治指導者であり、有力野党M5-RFPの党首でもあるマハムード・ディコも歓迎した。CNSPの委員長であるゴイタは副大統領に、そして外交官のモクター・ウアンは首相に任命された。

8月18日の出来事は、国際社会で即座に物議を醸した。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、拘束されている全ての人民と政治家の「迅速且つ無条件の解放」を要求した。ECOWASはマリでの事件を反乱と呼び、反乱軍に直ちに兵舎に戻るよう呼びかけた。そして、マリの加盟国資格を停止し、国境を封鎖し、加盟国とマリとのあらゆる資金の流れを凍結した。

欧州理事会のシャルル・ミシェル議長は、EUは危機の解決策を見出そうと尽力するECOWASを全面的に支援する意向があると表明した。また、フランス外務省はECOWASの立場に共鳴し、マクロン大統領は民衆への権力返還を要求した。EU、米国、カナダもフランスを支持した。このような流れの中で、ロシアはより公平な反応を示している。ミハイル・ボグダノフ外務次官は、8月18日の出来事がロシア・マリの関係性に影響を及ぼすことはないことを示唆した。これは新たに成立したマリ軍事政権に対する国外からの最も誠実な反応であった。

サヘル危機を背景とした軍事クーデター

マリで発生した出来事をローカルな文脈のみで捉えることはできない。クーデター前夜のマリの様子は、近隣の西アフリカ諸国の状況と大きく変わらなかったからだ。市民社会組織に支持されたマリ軍部の反乱は、フランス語圏アフリカ諸国における経済危機の深刻度を示す指標であり、広い意味ではフランスのアフリカ政策全体の指標でもあった。クーデターが改めて証明したのは、フランスが地元住民にとって多少なりとも受入れ可能な人物を選出できず、忠実ではあるが政治を破綻に導く政治家に依存していたという事実である。2019年7月、「ル・モンド・アフリク」誌が「ケイタ前大統領の腐敗政治を支持することは、フランス、マクロン大統領、そしてジャン=イヴ・ル・ドリアン外務大臣の信用を落とすことである」と述べたのは全くの偶然ではない。

このような警告は、目論見通りに事を進めたいフランスから事実上黙殺された。マクロン大統領はあからさまな苛立ちを覚えていた。著名なニュースメディア「フランス24」の報道は、「ここ最近、フランス大統領は西アフリカにおけるフランスのプレゼンスを非難する人々を批判している。彼は、市民や一部の政治家が抱くこうした不満の原因を理解していない」と指摘している。この指摘は一定の悪意をはらんでいる、というのも、マクロン大統領は人々の不満の原因を完全に理解できないほど愚かではないからだ。恐らく、彼の政策手段が驚くほど限られているために、単純に打つ手を持ち合わせていなかったのではないだろうか。

むしろ悪意はマクロン大統領によるアフリカのカウンターパートへの脅迫に込められていた。彼は「バルハン」作戦への関与の縮小や、フランス撤退の可能性にさえ言及して脅しつけた。それでも、フランスが「バルハン作戦」に関与し続けるであろうことは誰の目にも明らかであった。フランス軍がサヘル地域を撤退することは、アフリカ政策の失敗を意味する。また、フランスが西アフリカ諸国における天然資源の支配権を一部でも失えば、少なくとも都合の良いダンピング価格から不都合な市場価格への転換が生じる。フランス軍事省のフロランス・パルリ軍事大臣は、上司の「脅迫」を否認しようと躍起になっており、「フランス軍はマリ住民の要請に基づきマリ領内に駐留し、社会全体の安全保障という目標達成に向けて任務を遂行し続ける」点を強調した。

By KokusaiSeikatsu

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