クレムリン対エリゼ宮 アフリカを巡る争い?

ワシーリー・フィリッポフ

ロシア科学アカデミーアフリカ研究所主任研究員、歴史学博士

(翻訳:青林桂)

現在、アフリカ西部ならびに中央部において大規模な政治変動が進行中である。フランスは、かつて植民地であったアフリカ諸国が自国の勢力圏内にあると未だに信じて疑わないが、現実にはそれらの国々で地歩を失いつつある状況だ。状況はもはや一方通行ではなく、アフリカ諸国自身も、単一のドナー、スポンサー、あるいはパトロンを志向する伝統的なあり方から脱却し、協力関係の裾野を広げようとしている。


今世紀に入り、中国やロシアをはじめとする新旧アクターが「暗黒大陸」の国々に出現したことで、アフリカ諸国の政治的・経済的な方針転換の深化が促された。ニューカマーは、アフリカ諸国の重要な輸出品に、より合理的な市場価値を付与しただけでなく、これら旧植民地の国々へ新たな協力形態を提供し、かつての宗主国を不慣れな競争環境に置かせた。それによって、アフリカ人自らが対外経済戦略を多様化できるようになった。旧植民地では目覚ましい変化が生まれ出した。市民社会が形成され、従来の部族主義的モザイクにますます取って代わるような市民国家が成立し始め、地元の知識人は国家思想を形成しようと尽力している。情報化時代はアフリカ人の生活に独自の変化をもたらした。国民的な知識人がますます顕著な役割を果たすようになり、貧困にもかかわらず国民の教育水準が向上し始めると、それに伴って政治文化の水準も上昇していった。

パラダイムシフトか、改革の模倣か?

フランス第五共和制の第8代大統領であるエマニュエル・マクロンは、フランス政府の介入に対するサブサハラアフリカ諸国の対抗エリート、野党、そして市民社会からの拒否反応に直面した。フランスに忠誠的な大多数の国々では、最近までフランス政府や諜報機関の積極的な関与によってその権力機構が形成されていたため、こうした動きは最初に野党の側から生じた。

マクロン大統領は、最近のアフリカ諸国への外交訪問の際、当初はアフリカのパートナーと対等に話し合おうとする新世代の政治家を装っていた。しかし、その過度に媚びるような発言に対する拒否反応が生じると、マクロン大統領は自制を失い、説教的且つ外交儀礼上許されない無礼な態度に転じた。地元メディアは、フランス大統領の野心がアフリカ人を苛立たせていることを度々指摘しており、「アフリカの若者は、大陸におけるフランスの存在にますます反感を強めている」と報じている。

アフリカ諸国の指導者たちは、もはやマクロン大統領に相応の敬意を示していない。マクロン大統領はアフリカの指導者たちとの対話の中で、アフリカ諸国における中国の経済的・政治的拡大は、フランス・アフリカ間の長期的な利益に反するという点を繰り返し強調してきた。しかし、彼の発言はアフリカのパートナーたちの共感を得ることはできなかった。アフリカ側は、「旧知の仲」という確信や、いかなる将来的な利益の約束よりも、投資や融資などの実際的な取組みの方により関心を持っていたからだ。

旧来の勢力圏で失敗したことから、マクロン大統領はこれまで関心のなかった旧英国領に目を向けざるを得なくなり、2017年にガーナ、2018年にナイジェリア、そして2019年にケニアを訪問している。彼はケニア訪問時、「我々には過去がなく、それ故にこの地域・国においていかなる義務も持たない。必然的に、他でもないフランスこそがアフリカのパートナーとして認識されるようになるだろう」との注目すべき発言をしており、まるでゼロからの関係構築を示唆しているようであった。しかし、マクロン大統領にとっての新領域における外交的成功も結局は幻想であることが明らかとなった。

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