大祖国戦争におけるソ連の調停者としての任務と現代の文化外交

ヴィクトル・オレーヴィッチ

ジャーナリスト、政治学者

(翻訳:福田知代)

 大祖国戦争は、旧ソ連のすべての国民、独立国家共同体のすべての構成国、さまざまな民族や教派の代表者および、さまざまな政治的・経済的・社会的制度を持つ国家の住民の歴史的記憶の中に、爪痕を残した。戦時中の出来事や、偉大な勝利へと導いたソ連人民の英雄的な努力に関する記憶を保存しようという努力は、近年、現在の反ロシア的なイデオロギーの方針に沿うよう歴史を書き換えようと目論む西側の修正主義者らの活発な抵抗に直面している。西側の歴史修正主義者らの立場は、時として、ソビエト連邦を構成していた共和国や東欧の国々のリーダーの間で、肯定的な反応と支持を獲得している。


 もし、ソビエト連邦とアメリカとの間の冷戦時代に、かつての反ヒトラーの同盟国が、ナチスに対する勝利におけるソ連の役割を過小評価し、自らを勝利の主たる功績者であると吹聴しようとしていたならば、現代の歴史的ディスコースの枠内において、ソ連をあからさまにナチスドイツと比較したり、赤軍の解放の調停者としての使命を侵略的であると解釈したりすることを避けたりなどはしていないはずである。ソ連のシンボルの使用を法的に禁じている国々では、ソ連の解放戦士の記念像が破壊され、また、社会的認識において、ソ連の国家体制とナチズムとの間に、意図的にイコールが置かれている。戦時中の出来事に関する、先入観に満ちた反ロシア的解釈の方針の中で教科書が執筆され、大衆文学が広く出版され、映画やドラマが撮影されているのである。

 歴史のすり替えキャンペーンの旗振り役は、いくつかの目的を追求している。まず、彼らは、特に西側の同盟国の役割を美化しながら、ファシズムに対する勝利における、旧ソ連の国民の重要な役割に関する記憶を薄れさせようとしている。このようにして、ドイツの戦車の連峰を打ち破り、ベルリンからウイーンに到達したロシアに、勝者としての地位を認めていないのである。20世紀の和解のプロセスにおける我が国の肯定的な役割を、亡きものにしているのである。次に、ソ連とナチスドイツを同一視しながら、西側の歴史修正主義者らは、大祖国戦争勝利における旧ソ連の国民の功績を不当と見なしているだけでなく、旧ソ連の国々と国民を隔絶する活動のためのフィールドを拡大しているのだ。ソビエト連邦は、ドイツによる侵略の犠牲者の立場から、侵略者の部類へと転化させられた。

 同時に、「枢軸」国側で戦った、ナチスドイツとの協力部隊の正常化と英雄化の政策が実行されている。現代の歴史修正主義者の努力が功を奏し、戦時中に占領軍と協力した部隊は、裏切り者のレッテルをはがされ、自由と独立のために戦った戦士ということになっている。大祖国戦争時におけるソ連人の英雄的な功績に関する記憶の保存は、国家体制および、歴史のすり替えの試みに抵抗し、戦時中の出来事に対する客観的な判断を推進する市民社会の代表らによる共同の努力を必要としている。

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