新型コロナウイルスパンデミック対応

バイデン政権の発足時に最初に実施されたのは、新型コロナウイルスワクチンの国内大規模接種であった。パンデミック対応とその結果はホワイトハウスの内政にとって重要な課題となった。バイデンは、大統領就任後の最初の100日間で、米国民1億人へのワクチン接種達成を目標として掲げ、実際にこの目標を達成せしめた。同時に、ホワイトハウスは新型コロナウイルスの状況報告を目的としたプレスブリーフィングを週に数回の頻度で継続的に開催したが、前政権と異なり、バイデン自身が発表の場に姿を現すことは極めて稀であった。報告は、ウイルス学者、米疾病予防管理センターの職員やその他政府関係者によって行われた。このようなことから、パンデミックの克服という出来事とジョー・バイデンという人物とを強く結び付けるチャンスは十分に利用されず、その代わりにパンデミックとの闘いの命運は、政府指導者が承認した専門家集団の働きに賭けられていたところが大きかったのだった。

経済的・社会的成長の支配

今年3月25日、ジョー・バイデンは就任後初の公式記者会見を開催し、現代の歴史的プロセスの要諦と米国の将来に関して自身の見解を述べた。バイデンによると、世界では民主主義と独裁主義という二つの政治的イデオロギーの闘いが繰り広げられているという。この闘いにおいて民主主義国家を主導する国は米国であり、独裁主義国家の代表は中国である。また、バイデンはこの対立の勝者こそが21世紀の重要な役割を担うと見ており、中国の勝機に関して「私の任期中に訪れることはないだろう」と断言している。

バイデン政権は、経済・社会分野における抜本的な改革が対中競争の効果的な原動力になるはずだと考えている。4月28日の連邦議会では、今後10年間で最低約10兆ドルの国家予算投入を見越した三つの大規模法案がバイデンによって公表され、一連の改革プロジェクトの概要が示された。法案の重要なマイルストーンとして、インフラ整備を通じた雇用創出、「グリーン」経済の拡大、そして幼児教育や中等職業教育の4年間の無償化などが掲げられている。更に、富裕層や巨大企業の増税がこれらの改革の中で目指されている(しかし、税率を引き上げたからと言ってトランプ政権の税制改革以前の率には及ばない)。

このような米新政権の掲げる計画から言えることは、イデオロギー対立に関するバイデンのレトリックはオバマのそれと似ている反面、バイデン政権が重視する政策の本質的な部分はむしろトランプ政権に類似しているという点である。バイデンはトランプと同じく米中対立について明確に言及しており、その成り行きこそ米国の将来にとって最も重要であるとの見方を示している。経済面でもバイデンはトランプに追従し、自由市場の盲目的発展を指向するネオリベラルなアプローチではなく、市場経済を戦略的産業分野への大規模公共投資と組み合わせ、労働市場の市場外的な規制を進めるといったケインズ主義的な方針を追及している。

ロシア及びトルコとの関係性

ロシアとトルコは、政策方針、地政学的重要性、その他様々な側面において本質的に異なるが、米国の両国に対する外交方針は極めてよく似ている。この類似性は、正義というレトリックに覆われた矛盾であると見なすことができるだろう。

By KokusaiSeikatsu

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